首都高速道路乗継券 13号地(現臨海副都心)<->有明間

首都高速道路の乗継制度といえば、KK線の乗継制度が現行であり、首都高ユーザにも馴染みが深いものだと考えられます。現在では八重洲線と都心環状線(正確には8号線ですが割愛)の3乗継所で発行される1制度のみです。

しかし、かつては湾岸線の13号地(現臨海副都心、以下省略)有明間が未開通の時代に、当該区間を一般道利用して乗り継ぐ制度がありました。

その13号地・有明間の乗継ぎ制度を紹介致します。


まず、こちらが当時(1983年2月24日)の周辺路線図になります。
13号地・有明間は未開業でしたので、13号地・有明から流出する料金徴収済車両に対して発行されました。
発行箇所は、大井入口料金所、大井本線料金所、辰巳乗継所・料金所です。


大井料金所発行 13号地→有明無料乗継券

こちらは、大井本線料金所発行と推察される無料乗継券です。
発券した期間は、1983年2月24日~1984年12月12日で、湾岸分岐線を経由し湾岸線へ流入した車両若しくは大井南入口から流入した車両に交付したものと思われます。これは、大井本線料金所にて東京線料金を徴収されることからの措置です。
また、辰巳で後述するように、有明->13号地間の乗継券交付が1982年4月27日の湾岸線料金改定を契機に実施されていますが、大井本線料金所はこれに遅れて供用されていることから、1983年2月24日からの発券と考えられます。

なおですが、こちらの券のみ裏面に印刷があります。後述する200円券との区別でしょうか。




大井料金所発行 13号地→有明200円乗継券
こちらの乗継券は、大井入口料金所発券と推察される乗継券です。
無料乗継券との違いは、裏面が白紙、若干赤みが強いことと有明で200円の支払を必要とする文言が追加されている点です。
発券期間は、1982年4月27日から、1983年2月23日と考えられます。
これは、1号羽田線の特定区間(平和島~空港、羽田)は、100円で設定され(1983年2月24日200円に改訂)ており、また同区間の利用車が、平和島で流出し一般道を経由し大井にて乗り継ぐ場合に、大井で乗継券を呈示し100円を支払うことで、13号地まで利用できる制度もありました(1978年1月20日開始、1984年12月12日廃止)。
その中で、有明で200円をさらに徴収することを考えると、合計で400円となり、東京線料金と一致することから、有明~浦安間が東京線料金に組み込まれた1982年4月27日以降からの措置と考えられます。

上述したように、1号線特定区間の乗継ぎは、全線開通まで続いていますが、料金の改定後の措置はどうなったのでしょうか。考えられるものとして2つあり、①13号地まで無料で通行できる乗継ぎ券が発券された②大井で100円徴収されるため、有明で100円払えという旨の記載がある乗継券が発券されたあたりでしょうか。

補足
湾岸線の特定区間料金は、首都高速道路30年史資料の料金の推移によると以下のとおりになります。
1976年8月12日設定 大井~13号地 普200/大400円
1978年1月20日設定 新木場~浦安 200/400円
1980年2月5日設定 辰巳~浦安 200/400円
1981年5月19日設定 有明~浦安 200/400円
また、xxx~浦安は供用開始に伴い逐次区間が上書きされていき、有明~浦安区間は1982年4月26日に廃止した旨記載がある一方で、大井~13号地間については、廃止日が併記されておらず不明です。しかしながら、年表部分において1982年3月10日認可、翌年2月24日実施の料金において湾岸線特定区間廃止とあることから大井~13号地区間の特定料金制度は同日が廃止日と考えられます。
また、前述したように乗継制度の開始は、有明~高谷JCT間の2期区間全線開通による、特定区間料金廃止であることから、大井~13号地、xxx~浦安の特定区間はそれぞれ独立していたと考えられ、また相互間の乗継ぎは無かったように考えられます。
まあ、辰巳じゃ乗り降りできないし、新木場じゃ遠いから当たり前か・・・


辰巳料金所発行 有明→13号地乗継券

こちらは、辰巳料金所(西行)or辰巳乗継所で発券されたものと推察される無料乗継券です。
辰巳料金所(西行)は、現在の辰巳第一PAの場所にあり9号線から湾岸線西行きに向かう車両に交付されました。
発券期間は1982年4月27日から1984年12月12日と考えられます。
また、辰巳乗継所は、浦安~高谷JCT開通時に東雲区間通過車両に乗継券交付するために設置され、13号地~有明間開通時に廃止されました。規模は2レーン2ブースで高架下との記載があります。
航空写真を確認すると、2レーンへの減少が確認できるため、西行料金所の下にあったのではと考えられます。なお、高架部分にある建築物が辰巳本線料金所です。
これは、前述した湾岸線の特定区間料金が存在したため、湾岸線から9号線に流入する車両に対して東京線差額料金を徴収するために設置されていました。1982年4月27日以降は、有明~浦安の特定区間料金が廃止され、東京線料金になったことから差額料金徴収という役割を失ったため廃止されました。その後2ブース撤去され1車線分のスペースを確保、残った2ブース部分は積載違反車取締施設へ転用し、辰巳PAへ再転用しているようです。また、東西での規模・目的は同一です。

追記
奇しくもこれを執筆している最中に、辰巳料金所を含む本線料金所について調べてる方がいらっしゃり、youtubeにて動画を公開されていました(再度、辰巳本線料金所と検索してたら、youtubeの欄に出てて驚きました笑)。
辰巳本線料金所について、直接首都高に問い合わせており、大変参考になる情報であるため、こちらに動画を埋め込ませて頂きます。
※このページの内容から、時間を辰巳の部分に合わせておりますが、全編にわたり大変興味深い内容ですので、是非全編見ることをおすすめします。

    
再追記
気になって投稿者様のお名前で検索したら、2020年5月にニコニコに公開したのが初稿だったんですね。リサーチ不足をさらけ出してしまいました。


参考文献
『首都高速道路30年史』155,249,372頁(首都高速道路公団,1989)
『首都高速道路30年史〔資料・年表〕』135-137,237頁(首都高速道路公団,1989)
『高速湾岸線(1期・2期)工事史』364頁(首都高速道路公団湾岸線建設局,1984)
国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」1984年10月31日撮影 CKT843-C14-37 2021年07月25日閲覧

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